オウンドメディアとは企業が所有する情報発信ツールです。認知や信用を高め、見込みユーザーを増やし、既存顧客の満足度を上げるためにつくります。
この記事では次のような疑問に図解を交えてお答えします。
- オウンドメディアがどのように役立つのかを知りたい
- オウンドメディアの立ち上げを検討していて、目的を整理しておきたい
- 費用対効果が高まるしくみを把握したい
- 具体的な成功事例を知りたい
社内でのご提案資料として使える【ダウンロード可能な33枚のスライド資料(pdf)】もご用意しましたので、ご活用いただけたら幸いです。
オウンドメディアとは
- 定義・意味
- 目的
- メリット
- 事例
- 資料
ダウンロード
オウンドメディア(Owned Media)はマーケティングにおける課題を解決する手段です。
主に企業がみずから運営するブログ型のWEBサイトを指します。
- 商品・サービスの
必要性が浸透していない - 認知度が低い
- 魅力が伝わっていない
- 継続利用者が少ない
マーケティングの課題
- 知ってもらい
- 魅力を伝えて
- リピーターを増やす
オウンドメディア
によって
解決
オウンドメディアの役割
- 営業
- 広報
- CS
軌道に乗ったオウンドメディアは営業マンと広報、カスタマーサポートの役割を兼任してくれます。
- 新規開拓する
- 顧客の声に耳をかたむけ、課題を解消する
- 企業姿勢を発信する
- 既存顧客をフォローする
このほか、優秀な人材の採用を目的としたオウンドメディアもあります。
顧客とのコミュニケーションツール
また、365日24時間休まずにユーザーとコミュニケーションする手段です。
ホームページとの違い
Owned Mediaを直訳すると「保有するメディア」という意味なので、ホームページもオウンドメディアのひとつです。
既存のコーポレートサイトを拡張してオウンドメディア化する企業も多く「企業ブログ」はもっともポピュラーなオウンドメディアといえます。
ただし運用形式や更新頻度は一般的なコーポレートサイトとオウンドメディアで異なります。主な違いは以下の通りです。
-
- 内容
- オウンドメディア
- ホームページ
-
- メディア形式
- ブログ型
- 固定ページ型
-
- 伝えること
- 主に顧客の知りたいこと
- 主に企業が伝えたいこと
-
- 更新頻度
- 多い
- 少ない
オウンドメディアをつくる目的
- 定義・意味
- 目的
- メリット
- 事例
- 資料
ダウンロード
オウンドメディアは顧客との信頼関係を深めるためにつくります。
商品やサービスの認知を拡げ、魅力を伝え、ファンを増やす流れをつくるためには「信用」が欠かせないからです。
次の表は顧客が商品を知り、購入し、リピーターになるまでの流れ(カスタマージャーニー)を表しています。
商品やブランドに寄せる信用が大きくなるほど、売り手にとって理想的な行動をとってくれるのです。
オウンドメディアは認知したばかりの「潜在ユーザー」の関心を深める役割を担います。
潜在ユーザーのニーズと商品の訴求点がマッチすれば資料請求や購入・登録へつながり、使用感に満足すれば口コミやシェアを生むでしょう。
なぜオウンドメディアの重要性が増したのか
オウンドメディアを用いたマーケティングが広まった理由は、インターネットとスマートフォンによる購買行動の変化です。
マスメディア全盛時代の購買行動
従来の買い物では、テレビやラジオ、新聞などのマス広告がつたえる商品に対して「買う・買わない」の判断をくだしていました。
選択肢の幅はせまく、認知から購入までの道筋は直線的です。
スマホ時代の購買行動
しかしスマホが「より多くの選択肢」と「情報へアクセスするスピード」「シェアする文化」をもたらしたことで商取引は一変します。
人びとはみずから必要な情報をしらべて精査し、自分の世界観に商品・サービスのストーリーがマッチするかを判断するようになったのです。
80%以上が買い物の前にWEBで調べる
実際に、80%以上の人が買いもの前にWEBを活用して情報収集するという調査結果もあります。
参考:買い物における情報収集手段の利用時間シェア- 博報堂オウンドメディアの具体的な目的は5つ
顧客と信頼関係を築くために、目的は5つに分解できます。
- SEO集客
- SNSや広告と連携
- ブランディング
- コンバージョン(問い合わせや登録者)の獲得
- ファン化
1.SEO集客
1つめの目的はSEO対策した記事を掲載して「商品やサービスを使ってくれる可能性がある人」に「知ってもらうこと」です。
まだ商品の必要性に気付いていない未来のユーザーに情報を届けるには、悩みを解決する記事型のコンテンツが有効です。
顧客に役立つ高品質な記事をつくると検索エンジンでの露出が増え、顧客との接触機会を得られます。
たとえば「足 むくみ」は月に約11万回検索されているキーワードです。足のむくみを改善したいと考えている人が検索していると予測できます。
関連商品をつくっている会社からすると、将来の顧客と接点をもつチャンスです。
実際に「足 むくみ なぜ」の検索結果には、オムロンなどのヘルスケアや医療関連のオウンドメディアが並びます。
「足 むくみ デスクワーク」ではイスに関わる企業のメディアが上位表示されます。悩みが明確な場合は、解決する記事も具体的な内容が求められるのです。
このようにお役立ち記事をつくり潜在顧客を集客するマーケティング手法を「コンテンツSEO」と呼びます。
2.SNSや広告と連携
2つめはマス広告やSNS、メルマガとの連携です。
SNSは拡散性があるため、うまく組み合わせることで相乗効果を見込めます。
また広告やSNSからオウンドメディアのコンテンツに誘導すれば、商品や自社についてより深く知ってもらう機会を得られるのです。
トヨタ自動車はテレビCMの最後にオウンドメディア「トヨタタイムズ」をPRしています。
トヨタタイムズには車に関するコンテンツだけでなく、リーダー論やトヨタ生産方式について掘り下げた記事が充実しています。トヨタの潜在ユーザーである「志の高い仕事人」にとって有意義なコンテンツです。
マス広告とオウンドメディアの連携が相乗効果を生む好例といえます。
3. ブランディング
魅力や世界観を伝えてブランドイメージを向上させることも目的のひとつです。
たとえばこれからの企業には、SDGs(持続可能な開発目標)に関する行動が求められます。取り組みを発信することはブランドイメージにつながるのです。
花王が運営する「花王の顔」は、花王に所属する研究者たちへのインタビューコンテンツを軸にしたオウンドメディアです。
新技術の開発秘話に迫りながら、花王がどのように環境問題やサステナブルと向き合ってきたのかを伝えています。
4. 問い合わせや登録者を増やす
4つめは資料請求や製品購入、サービス登録をうながす目的です。
見込みユーザーが本当のユーザーに移行する段階であり、収益に直結する重要なポイントでもあります。
問い合わせ数や登録者数は構成やライティングスキルに左右されるので、記事の質が重要です。
5. ファンになってもらう
最後は製品、サービスを推奨してくれるファンを増やす目的です。
顧客満足度(CS)を高めることで、SNSでのシェアやレビュー記事の投稿、オフラインでの口コミの波及効果を期待できます。
カインズホームのメディア「となりのカインズさん」は、DIYについてのお役立ちコンテンツを中心に、ホームセンターのユーザーが楽しくなる記事を配信しています。
記事についてのツイートやインスタ投稿も多く、ファンとの交流を生んでいるメディアです。
オウンドメディアを導入するメリット
- 定義・意味
- 目的
- メリット
- 事例
- 資料
ダウンロード
オウンドメディアが企業にもたらすメリットは3つです。
- コンテンツの資産化
- 費用対効果が高い
- 広告との相乗効果
コンテンツの資産化
一度つくったコンテンツは資産であり、別媒体で再利用できます。
記事をベースにYoutube用の動画をつくったり、広告配信に用いたり、要約してSNSに投稿したりと、さまざまなシーンで活用可能です。
費用対効果が高い
費用対効果が高いこともメリットです。テレビCMで認知を獲得するには数千万円規模の広告費が必要ですが、オウンドメディアはサイト構築費と記事制作費だけでも運用できます。
軌道にのれば投資を抑えられるいっぽう、集客やブランディング効果は持続するため、長期的な収益改善をはかれるのです。
広告費をカットしながら相乗効果
広告費を削減しつつも組み合わせることで相乗効果をうみます。
たとえば以下のような展開が考えられます。
- LP型の記事をリスティング広告のリンク先に設定
- 記事を他社のメディアで配信
- SNS広告に配信
- オフラインの広告でメディアをPR
オウンドメディアの成功事例
- 定義・意味
- 目的
- メリット
- 事例
- 資料
ダウンロード
オウンドメディアが購買行動にどのような影響を与えているのか、購入やサービス登録に至った3つの事例をもとに解説します。
いずれも私の実体験ですが、共通点は一度もセールスと話していないことです。
セイバン「ためになるランドセル広場」の事例
小学校へあがる息子にランドセルを購入した際の流れです。オウンドメディアは店舗での購入にも影響します。
- 認知 – 〜2020年
唯一知ってるランドセルブランド
セイバンはCMなどで存在を知っていた唯一のメーカー。
しかし「老舗だから高そう」という程度の認識。パパとしては新興ブランドを選びたい」と考えていた。 - 興味 – 2021年4月
「最新ランドセル」で画像検索
息子に画像をみせてどのランドセルがよいか質問。
「ドラゴンの刺繍がいい!」と指差したのがセイバンの製品。 - 調査 – 2021年5月
「ランドセル 選び方」で検索
検索結果からセイバンのオウンドメディア」をチェック。 セイバンのサイトは直感的でわかりやすく、疑問点を次々に解消してくれるサイト構成になっていて好感をいだく。また購入後のサポート内容やSDG’sへの取り組みについてのページも熟読。
- 行動 – 2021年6月
イオンで購入
息子といっしょにイオンのランドセル展示会を訪問。いくつかの製品を試着させる。
「ドラゴン!」の一点張りだった息子をなんとか説得して、セイバンの別商品「スゴ光」を購入。
ご覧のとおりきっかけになったのは「ドラゴンの刺繍」であり、購入場所はイオン展示会です。
しかし選択肢をしぼる過程でセイバンが発信する記事を読んだことで、ブランドへの信頼が高まりました。購入まで一直線に進んだ事例です。
steam教育「ワンダーボックス」の事例
つづいてタブレットで利用できるSTEAM教育「ワンダーボックス」の事例です。
- 認知 – 〜2020年8月
競合サービスを検討
息子の友達が「スマイルゼミ」を使っているのをみて通信教材を検討開始。
スマイルゼミのように専用端末を使うのではなく、Androidのタブレットで利用できるサービスがないか調べようと思い立つ。 - 興味 – 調査 – 2020年9月
「Steam教育 タブレット 幼児」で検索
検索連動広告や上位の比較サイトでワンダーボックスの存在を知る。
公式ページやワンダーラボのオウンドメディア「We Think」で情報収集。
保護者の疑問に答えるQ&Aコンテンツなどをみて、常に改善している姿勢を好きになる。 - 保留 – 2020年10月〜2021年3月
保留して5ヶ月放置
情報収集したものの、緊急性もなかったのでいったん保留。
そのままなんとなく5ヶ月ほど放置。 - 行動 – 2021年4月
インスタグラムの広告をきっかけに購入
インスタグラムにワンダーボックスの広告が表示され、検討していたことを思い出す。
広告リンクをタップしてそのまま資料請求。後日正式に加入。
検討開始からサービス加入まで約8ヶ月かかっており、うち5ヶ月間は検討していたこと自体を忘れています。
しかし必要性が生じたときに迷いなく資料請求したのは、情報収集で良いイメージを抱いたからです。
直接の参照元リンクはインスタ広告ですので、メディアと広告の合わせ技でサービス加入者を得た事例といえます。
動画編集ソフト「Filmora」の事例
最後は動画編集サブスクサービスの事例です。
メディアの読者が直接会員にならなくても、オフラインの口コミを生めばユーザー獲得につながります。
-
認知 – 〜2020年11月
「料理動画 編集ソフト」で検索
仕事でレシピ動画をつくる機会があり、使用中のpremireよりサクサク動くソフトを使いたくなったため検索。
検索結果にFilmoraのオウンドメディアが表示され、存在を知る。 -
興味 – 2020年11月
「premire Filmora 比較」で検索
premireとの違いを把握するため比較記事とYoutubeで情報収集。
Filmoraのオウンドメディアも上位に表示されるため再訪。 -
離脱 – 2020年11月
加入せず
検討した結果、premireを継続利用することに決める。
-
推奨 – 2021年4月
友人にすすめる
友人が動画編集をはじめるとのことだったので、ライトユーザー向けで使い勝手の良さそうなFilmoraをすすめる。
友達は無料会員登録し、後日有料会員になる。
このようにオウンドメディアの波及効果はWEB上で完結せず、オフラインの場にも影響します。
オウンドメディアの始め方
オウンドメディアを始めたい、今あるメディアを改善したいなどのお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
お悩みに合わせた解決策を無償でご提案させていただきます。
プレゼン用資料ダウンロード
- 定義・意味
- 目的
- メリット
- 事例
- 資料
ダウンロード
オウンドメディアをつくるにあたって最初の関門は「社内で必要性を理解してもらうこと」ではないでしょうか。
そこで、このページでお伝えした内容をスライドにまとめてPDF化しました。会議や社内でのご提案にご活用ください。
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オウンドメディアの作り方
オウンドメディアの具体的な作り方は次の記事でくわしくお伝えします。
オウンドメディアの作り方(準備中)
こちらの記事でも進捗管理シートやKPI(目標数値)シートなど、制作に役立つ資料を無料配布しているので、よろしければご覧ください。
【まとめ】オウンドメディアとは?
- オウンドメディアは企業が運用するブログ型のサイト
- 目的は認知と信用の獲得
- メリットは長期的な収益改善につながること
- オフラインの口コミをつくり、ユーザー獲得につながる例もある